TOBE広報 webマガジン
vol.14

2024年3月
「私がインタビューしました!」子ども教育学科/3年 名和海凛さん(山形県立山形西高等学校 出身)

子どもがひたすら楽しめる“場”を作る

先生が実施されている、付属幼稚園の課外活動の造形教室や小学生を対象にした造形教室「とぶらぼ」について教えてください。

幼稚園の造形教室では園児に大学に来てもらって活動しています。完成形に向かって作るのではなく、材料などをあらかじめ部屋に準備しておいて、子どもが見た瞬間に「何これ?何これ?」と挑みかかっていくような“場”を作ることを心がけています。部屋を薄暗くしてLEDの懐中電灯でラバーライトのようなものを作って遊んだり、画用紙を短冊状に切って、それをホッチキスで留めながら屋外までどんどん伸ばしてみたり。単に作って出来上がりというのではなく、あくまでもその活動をひたすら楽しめる状態にセッティングすることを一番大事にしています。「とぶらぼ」もコンセプトは同様で、子どもたちに一心に手を動かしてもらう時間に。今年はマスキングテープを大学の床や壁、鏡、ガラスなどに貼りまくる活動を大学のオープンキャンパスの時間帯に合わせてやりましたね。

子どもの頃の情熱を一生続くものに

子どもが造形体験をすることで育まれる力とは。

例えば、お菓子の箱や牛乳パックを使って物を作ろうとするとき、それらはそれぞれ見た目も違うし、硬さや触り心地も違う、お菓子や牛乳の匂いが残っていたりもする。自分の五感を働かせているそのノイジーな状態が、さまざまな感覚の発達につながっていくと思います。さらに、素材についても「これとこれはくっつくけど、これだとくっつかない」。そうした経験から物の仕組みを理解して、自分なりの意味や価値ができる土台になっていく。子どもの頃に夢中になってやっていた情熱は一生続いていくものであったりしますし、そうあってほしい。自分の五感を通して自分自身にとっての意味と価値がしっかりと育まれていくのだと感じます。子どもが作るものは大人から見れば「雑」に見えます。ですが、子どもにとってはそれが精一杯。雑に作れば作るほど壊れていくけれども、壊れたものを修理することでだんだん丈夫になっていったり、魔改造されていったり。それが実は子どもにとって一番重要なことで、幼児の造形とはそうあるべきだと思います。

学生にはどんなことを意識して学んでほしいですか。

大学生活では思いっきり遊んでほしいです。“遊び”とはブレーキの遊びのような余白や隙間を意味していて、遊びがないと急ブレーキになってしまうので、ちょっとした遊びがあることがとても重要。自分の中に遊び心をもって大学生活を送ってもらいたいですね。

子ども教育学科 准教授 篠永 洋

東北文教大学人間科学部 子ども教育学科 准教授。和光大学人文学部 芸術学科卒業、西九州大学大学院 生活支援科学研究科子ども学専攻 修士課程修了。担当する授業は「幼児と造形表現」「図画工作」等。付属幼稚園の課外活動の造形教室や小学生を対象にした造形教室「とぶらぼ」での指導のほか、付属幼稚園のHP公開用動画制作も担当している。