TOBE広報 webマガジン
vol.4

2019年3月
子ども学科/2年 藤井悠月さん(秋田県立角館高等学校 出身)

成長に繋がる自己発揮のカギは心の基地になること

もともと先生は学校や幼稚園で教員を務めていらっしゃいますね。保育者という仕事の面白さ、魅力はどんなところにありますか?

保育園や幼稚園には学校と違って、教科書がありません。ですから、子どもとのやり取りや活動の様子から心の動きを観察し、発達の特徴を見出す面白さがあります。一人ひとり年齢や特性によっても違いますから、今何が必要でどんな活動をするべきなのか、毎日工夫しながらつくりだす、ライブ感に溢れる保育の現場は、とても魅力的ですね。

では先生の専門の一つである「子ども理解」について教えてください。

他者を理解するというのは、実は大人でも難しいことです。しかし、今どんな思いでいるのか、何を考えているのか、保育者として表情やしぐさ、関わりなどから子どもの世界を考え、理解しよういうのが「子ども理解」です。子ども達の可能性はどこにあるのか。どんな事に興味があって、何が好きで、どうしたいのか。最終的に正解かどうかは分からなくても、環境を整えることで、子ども達は物事に積極的に関わり、学び、さらに深め、一人ひとりの可能性はどんどん広がります。子どもの行動には意味があります。ですから理解してもらえないとイライラしたり、理解してもらえると安心して新しいことへ好奇心を膨らませたり。保育者が子ども達の心の基地になれば、もっと自己発揮ができるようになるのです。

相手の気持ちに寄り添う大切さ。気づきから、その先の成長に

私たち学生には、特にどんなことを意識し学習してほしいですか?

相手の気持ちになって考えようとすることですね。日頃の生活でも友達や周りの人への気配りができる学生は、子どもの観察力も高いです。先生や保育者は「教えなくちゃいけない」という視点になりがちですが、子ども軸から一緒に考えようという姿勢を持てば、何気ない遊びからたくさんの気づきが得られます。おもちゃを取り合うようなケンカも、物事への執着も、全てに意味があり、必要なプロセス。より良い成長のために、どんな関わりを持ち、言葉を発し、環境を整えるかと様々な面から考えられる人が、保育のプロだと思います。

Profile
子ども学科教授(副学科長)奥山優佳

東北文教大学短期大学部 子ども学科 教授、副学科長。明星大学大学院人文学研究科博士前期課程修了。専門分野は教育学、幼児教育学。保育者の専門性や幼児理解を研究の課題とし、担当の授業には「保育原理」「保育課程総論」等がある。