TOBE広報 webマガジン
vol.6

2020年3月
子ども教育学科/4年 岡部 史織さん(山形県立酒田西高等学校 出身)

大切なのは子ども一人ひとりが主体になれるルールづくり

先生のご専門の一つである「幼児と環境」について教えてください。

幼児教育・保育は、環境をとおして行うものです。子どもたちが主体的に遊びや生活ができるよう、どのような環境でどのような関わりを持つべきかを学びます。例えば体力向上を目的とするならば、足腰は平坦な場所では十分に鍛えられないので、築山を作る。教える側が主導になり登らせるのではなく、そこに草を生やすことで子どもが虫を追いかけ回そうと進んで登り下りしたくなる理由を作ることがポイント。よろけても手を貸さず、裏方としての保育を行うのが理想ですね。

関わり方にはどのような方法がありますか?

遊びは本人の「やりたい」が前提です。各自のやりたいことを保障してあげるために「ゾーニング」という方法があります。一人で集中してやりたいのか、ある程度の人数でやりたいのか、その規模にも配慮しながら動的な空間と静的な空間に分けた環境を作ります。例えば、何もないグラウンドで自由に遊ばせた場合、静かに遊びたい子と、ボール遊びしたい子のすみ分けができなくなってしまいます。四方八方に散らばった子どもたちは目的や出会い、発展がなくすぐに飽きてしまうことも。また大人は子どもが道路に飛び出してしまわないかなど常にハラハラしていては強制的にルールを押し付ける状況になってしまいます。大人が安心して見守れて、かつ子どもが納得できるルールが重要なのです。もう一つの例として、滑り台は一人ずつ滑りましょうというルール付けをしてしまいがちです。しかし滑るより坂を登ることに面白さを感じる子どももいるのです。子どもたちと話し合った結果、滑ることより坂を登ることが優先というルールができたことがありました。これは体力の向上だけでなく、私たちが育みたい「話し合える力」と「規範意識の芽生え」にも繋がっていきます。ルールは必要ですが、大人からの一方的なものにはしない環境づくりも大切ですね。

子どもが成長する喜びを保護者と一緒に感じる幸せ

保育者という仕事の魅力を教えてください。

子ども自体がとても魅力的なので、そこに関われることが私は幸せだと思います。また保護者は、幼稚園や保育園での子どもの様子を知りません。家庭で見せる姿と園で見せる姿は全く異なるもの。そういった新たな姿や、ちょっとした成長、変化を保護者に伝え、喜んでもらえたらこの上なくうれしいですよね。人と関わり、色々な思いを共有できる点も保育者の魅力だと思います。

東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科准教授。東北大学大学院教育学研究科博士課程前期課程修了。専門分野は、教育学。担当の授業には「教育制度論」「幼児と環境」「保育内容総論」等がある。