TOBE広報 webマガジン
vol.7

2020年9月
「私がインタビューしました!」子ども学科/2年 奥山菜々さん(山形学院高等学校 出身)

子どもだけでなく、保護者や地域にも及ぶ保育士の関わり

先生が「社会的養護」について研究するようになったきっかけを教えてください。

私は23年間、社会的養護の現場の一つである「青少年福祉センター」に勤務していました。そこで児童指導員として中高生年齢の児童の自立支援に携わったことが始まりです。社会的養護とは、さまざまな理由により保護者がいなかったり、保護者の適切な養育を受けられなかったりする子どもを社会全体で養育すると共に、その子どもの家庭も支援していく仕組みのこと。代表的な施設に、18才までを対象とした児童養護施設や出生から概ね3才までの子どもが生活する乳児院がありますが、これらの施設には保育士の配置が義務付けられています。

施設保育士と呼ばれる保育士ですね。保育士の活躍の場は保育所以外にもあることを授業で学びました。

保育士が関わる対象は、子どもはもちろん、家庭や地域の子育て支援にも及びます。子どもを取り巻く環境の変化に伴い、育児疲労や育児不安など多様な問題が顕在化しており、子育ての社会的支援の必要性が高まっています。同時に保育士の専門性や役割への期待も大きくなっていると言えます。

諸外国の実践例から見える公的機関の早期介入の必要性

近年は諸外国の実践例も研究されていますね。

特にフィンランドやカナダの子育て支援システムについて調査しています。例えばフィンランドでは妊娠してから子どもが就学するまで、子育て支援に関わる窓口が一本化されています。他にも日本で取り入れたいと思えるような制度やサービスが充実しており、調査から日本でも社会的養護を必要とする子どもの早期発見・保護だけではなく、予防的対応として早い段階で公的機関の介入の必要性を感じます。

子どもの背景にある家族や将来を想像できる力を養おう

私たち学生には、どんな保育者を目指してほしいと思われますか?

例えば目の前にいる子どもと関わる時、その子の1年後や2年後を想像して関わることができるかどうか。その子を通して、背景にある親子のやりとりを想像できるかどうか。決してマニュアル通りの保育ではなく、自分の学んできたことや体験してきたことからイマジネーションを膨らませることを大切にしてほしいですね。

Profile
子ども学科教授 佐久間美智雄

東北文教大学短期大学部 子ども学科 教授。國學院大学卒業、東洋大学大学院博士後期課程単位取得後退学。昭和62年から23年間、青少年福祉センターに勤務。社会福祉学修士。専門分野は児童福祉、社会福祉、精神保健。研究課題に「社会的養護についての研究」がある。