TOBE広報 webマガジン
vol.11

2022年9月
私がインタビューしました!人間科学部 人間関係学科/2年 小林勇輝さん(東北文教大学山形城北高等学校 出身)

自分”を考えることが社会のあり方にリンクしていく

先生のご専門の一つである「ジェンダー学」とはどのようなものですか。

ものの考え方として男性・女性を基準として性別を分類する二元論的な考えが依然としてある中で、LGBTQといった性別認識の多様性がいま人々の意識にも、社会の体制の中にも浸透しつつあります。しかしながら、現実としてはそう簡単に変わるものではありません。頑固に変わらない部分を取り上げ、なぜ考え方が変わらないのかを精査していく学問だと考えていますし、社会学や社会心理学に通じる側面もあると思いますね。

ジェンダー学の意義や面白さはどんなところにあると思われますか。

ジェンダー学は特別なものではなく、実はとても身近なテーマを扱います。ジェンダーについて考えることは、結局は“自分らしさ”を考えること。その自分らしさの一つの着目点が、性別であったりしますから。自分らしさについて考え、それを突き詰めていくと結果的に社会のあり方に必ずリンクしていく。そういった意外なつながりを発見することや、思いもよらないところへ問題が拡散していくというのも結構面白いかもしれませんね。

自分の身近なところに目を向ける姿勢を意識して

学生が理解を深められるように授業ではどのような工夫を行っていますか。

教科書的な考え方をただ授業で紹介して終わりにするのではなく、それがいかに自分の日常に深くかかわっているかに気づいてもらえるよう腐心しています。例えばある授業では、普段小学生が見ているようなテレビアニメを学生と一緒に見るんです。小さい頃に見たことがあるアニメでも、分析の目線で見ると新たに見えてくることも。自分の身近なところで着目すべき点に気づいてもらい、それを分析するためには理論の理解も大切であることを伝え、理論と現実、双方から学びを深めています。

ジェンダー学を学び身に付けた力を、私たち学生は将来どのように活かすことができるでしょうか。

人生の選択肢の幅が増えると思います。自分が深刻な問題に直面したときでも、世の中は常に変化していくもの、人の考えは変わっていくものと理解し、いろんな選択肢があることを知っていれば人生を先に進めることができるでしょう。さらに、展望する力や先を見越す力を持てるようになれば、社会で働き、生活していく上での大きな力になります。多くの学びの中から自分らしさを発揮できるスキルを見つけてほしいですね。大変な世の中を生き抜く助けとなるように、自分のために学んでもらいたいと願っています。

人間関係学科 副学科長・教授 阿部 裕美

東北文教大学 人間科学部 人間関係学科 副学科長、教授。弘前大学人文学部卒業、東北大学大学院文学研究科博士課程前期修了。専門分野は英文学、ジェンダー学。研究課題に「スコットランド啓蒙主義と感性」「ジェンダー・ギャップにおける思考傾向」などがあり、「英語Ⅰ・Ⅱ」「異文化論Ⅰ・Ⅱ」「異文化演習」の授業を担当。