TOBE広報 webマガジン
vol.13

2023年9月
私がインタビューしました! 子ども教育学科/4年 齋藤楓さん(東海大学山形高等学校出身)

胎児から高齢者まで人の心の“ 変化”を見る

齋藤

先生のご専門の一つである「発達心理学」について教えてください。

人の心には思考・感情・対人関係・性格などさまざまな側面があります。発達心理学は胎児から高齢者まで、そのような人の心が加齢とともにどのように変化し、なぜそのように変化していくのかを調べる学問です。

永盛
齋藤

どのようなきっかけで「発達心理学」を研究するようになったのですか。

高校生の頃から、「『人間』『人』って何だろう。どうしてこんなにも多様なんだろう」といったことに興味を持っていました。そうしたことから心理学を学べる大学に進学。人を知ろうと思ったら、子どもも大人も、おじいちゃんもおばあちゃんも人だし、そういった発想を広げる中で、今の大人の姿だけを見ていても答えは見つからない、子どもの頃からの変化を辿っていくことで答えが見えてくるのではないかと思い、発達心理学をより詳しく知ろうと思いました。

永盛
齋藤

学生により理解してもらうために授業で工夫していることはありますか。

自分に関係のあることとして捉える、つまり当事者性を持てるように心がけています。授業では漫画家さんご自身の3 人の子どもたちの面白いエピソードを描いた、「子育て絵日記ブログ」を取り上げ、学生同士がお互いに意見交換できる時間をつくっています。できる限り学生にイメージを具体化させて、取り上げる対象が生身の人間なんだということを工夫して伝えていきたいです。

永盛

過去、現在、未来物事は常に変化していくもの

齋藤

「発達心理学」の魅力や面白さはどんなところにありますか。

例えば5歳の子と、小学2年生、小学4年生に同じ質問をするとそれぞれ違った答え方をするのですが、同じ年齢同士では共通の答え方をする傾向に。全く文化も時代も言語も違う子どもたちが、同年齢で同じ反応を示すので、あらかじめそういった予想は立てつつも「やっぱりそう答えるのか!」とその場面に出会ったときの研究の面白さがありますね。将来、学校の先生や保育者を目指す学生にとっては、子どもの発達を支え促していく専門家として発達心理学は必要不可決。また、そうでない学生にとっては、人や対人関係を含めて、物事を“変化”という視点から見られるようになることは強みになります。たとえ何か問題が生じていても、ずっとそのままというわけではありません。過去からのプロセスを経てその状態になったものですし、その後の未来も変化し続けていくもの。そうした俯瞰的に捉えられる力を得ることが一つの武器になると思います。

永盛
人間関係学科 准教授 永盛 善博

東北文教大学人間科学部 人間関係学科 准教授。早稲田大学教育学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士後期課程 単位取得退学。専門分野は発達心理学、教育心理学。研究課題に「幼児期・児童期の世界観についての研究」があり、担当する授業は「家庭支援の心理学」「子育て支援」「幼児と人間関係」等。