TOBE広報 webマガジン
vol.4

2019年3月

開学から10 年目の今年4 月、学長交代という大きな節目を迎える東北文教大学。鬼武学長と、新年度より学長に就任する須賀副学長が今日までの軌跡を振り返り、これから本学が目指す将来像について語り合いました。

きっと苦労はある。でもそれは楽しい苦労になると思います。

強みを強化し、新たな価値を創出

鬼武/開学からしばらくは、とにかく4年制大学の設置目的にしっかりと沿った運営を行うことに奔走しました。まずは小学校教員養成を主目的として、その仕組みづくりから。いかに成果を出すかが最大の課題でした。そして平成27年度に、当初目標としていた7割近くの合格率を達成。皆で喜び合った日のことは今でも鮮明に覚えています。それは2年目に設置した教職実践センターが着実に機能していったことが功を奏した結果。小学校の校長経験者がスタッフとして常駐する同センターは、現在も本学における小学校教員養成の中核的な役割を果たしています。

須賀/本学子ども教育学科による小学校教員採用試験の突破力については、近年定評を得つつあると感じています。今後は、4年間の養成段階で教員としての“質”をどこまで高めていけるかに、よりこだわり、小学校教員養成のブランドをしっかりと築いていくことが目標の一つです。

鬼武/受験生を確保する大学間競争が激化する中、既に持っている強みを強化することに加え、新たな価値を創出していくことが至上命題と言えます。これからも教員養成を大学の中心に据えながらも、さらに教育の幅を広げるため、再来年度までに新学科を設置することが決まりました。

須賀/子ども教育学科には、公務員や一般企業への就職を希望する学生も一定数いるわけです。そうした意味では、県内の高校生の進学希望に応えられる受け皿をつくり、ひいては多彩な人材を地域に還元していくことに繋げていきたいですね。

鬼武/いざという時に色んな切り口で自分なりの思考や判断ができて、どんな変化をも乗り越えていける。そんな人材を育てることが理想です。須賀先生はいかがですか?

須賀/私が重視したいのは、人に対しての深い理解力です。本学は人の育ちや生活の支援、人が培ってきた文化など、いずれの学科も人間について学び、人間を中心として専門性を高め広く学んでいます。人間への理解は、新学科においても同様にますます重要なテーマになっていくと考えています。

「面倒見の良い大学」を極めるために

鬼武/開学以来、一貫して少人数制の教育システムを堅持してきた本学。学生と教職員の距離の近さ、学生一人ひとりに目が行き届くきめ細かなフォローアップ体制は、自他ともに認める特長の一つです。

須賀/我々が「面倒見の良い大学」を標榜する所以ですね。確かに、小規模の大学ゆえのメリットを活かせているという自負があります。それは学生側の意識にも顕著に表れていて、FDネットワーク”つばさ”で実施した「平成29年度学修成果等アンケート」では本学の卒業時の満足度が第1位に。小規模大学ならではのこれらの強みを、今後はより意識的に伸ばしてくことが必要だと感じています。

地域での実践力と、人間に対しての深い理解力が今後ますます重要に。

いま、真価が問われている

鬼武/山形市の子育て支援の拡充策として、2021年には本学付近の片谷地・松原地区に新たな児童遊戯施設のオープンが予定されていますね。幼児教育・保育の人材を養成する本学には、学生ボランティアやプレイリーダーとしての関わりなど、運営参画への大きな期待が寄せられています。

須賀/近隣の小学校での教育ボランティアや地域の高齢者との交流、さらに南山形に根付く文化資源を積極活用する「南山形地区創生プロジェクト」など、これまでも地域に主題を置いて多様な事業を展開してきましたが、そうした地域での実践力を進展させるまたとない機会が到来したと捉えています。

鬼武/まさに本学の真価が問われる時。大変だけれど、我々にとっても地域の方々にとっても、すごく夢のあることだと感じます。

須賀/同感です。学生たちの学びの場、教員の研究の場としての活用はもちろん、地域貢献の新たな取り組みとして、積極的に運営に関わっていくつもりです。

鬼武/それから、本学が力を入れている国際交流事業の一つとして、昨年から短期大学部人間福祉学科と中国黒竜江省との連携事業に着手しました。高齢化が急激に進みながらも介護分野の人材の確保が遅れている中国において、日本の人材育成のスキルが求められています。将来的に中国の伊春職業学院から学生を受け入れ介護福祉士として養成し、何年か山形県で働き経験を積んでもらった後、帰国して母国で活躍してくれるというサイクルを構築していく計画です。

須賀/革新的な取り組みであり、本学がパイオニア的な役割を果たしていくことに。

鬼武/須賀先生はこれから数々のプロジェクトを、構想段階から実現へ向けて具体的に動かしていくことになりますね。たくさん頭を悩ませ、ご苦労されると思いますが、それはきっと楽しい苦労だと思います。4月からお互い立場は変わりますが、これからもできる限りサポートしていきますからね。

須賀/よろしくお願いいたします

恵まれた環境で、自分の殻を破ろう

須賀/鬼武先生も私も県外出身者で、大学時代はそれぞれ金沢と千葉で過ごしていますね。他の土地と比較して、ここ山形で学ぶことのアドバンテージについてはどのようにお考えですか?

鬼武/一つに情報過多ではないことが挙げられます。必要な情報は手に入りますが、余計な情報に翻弄されることも少ない。やりたいことが見つけやすく、しっかりと腰を据えて学べる環境が整っていると感じます。私の専攻は生物学ですが、私自身、他では決してできなかった研究を山形で実現することができました。そうしたメリットは学生にも通じるものだと思います。

須賀/文化施設が揃っていますし、歴史的な資産も豊富。存分に学びを満喫できるこの山形の環境は、外から来た者の目にはなおさら魅力的に映ります。山形を知らない県外の高校生にも、ぜひ本学のことを広く知らせていきたいですね。

鬼武/どんな子にも必ず伸び代があって、それを最大限に伸ばすのが我々の役目。高校生のみんなに伝えたいのは、決して自分で自分の評価を下さないでということ。

須賀確かにそうですね。自分の殻を破りたいと思っている人こそ、ぜひ本学へ。「ここで学んで良かった」と言ってもらえる確かな自信が、私たちにはありますからね。