TOBE広報 webマガジン
vol.17

2025年9月

プレイヤーの想いに応え
滑走性を追求し続ける
ワックスを

林 真子さん
HAYASHI MASAKO

ハヤシワックス 代表

 子どもが大好きで、幼稚園の先生に憧れて短大へ。卒業後は保育士として働きましたが、体調を崩し、結婚を機に専業主婦に。そんな中、2006年にスキーやスノーボード用のワックスの開発・製造を行う会社を立ち上げました。きっかけは、家族で訪れた蔵王温泉スキー場。繰り返し滑るうちに板に雪が付着し思うように滑らず、子どもたちが「もう帰りたい」と。残念で悔しい思いをしました。ちょうどその頃、ある親御さんに「大会で勝敗を決めるのは、高価なワックスを塗ってあげられるかどうか」と言われ、その言葉に衝撃を受けたのです。
 〝子どもたちのために何とかできないか——〞その思いで台所から始まったワックスづくり。サンプルを集め、幾度となくテストを重ね、多くの方々の助けがあり、今ではたくさんのプレイヤーに求められる製品になりました。支えとなったのは〝人との関わり〞。人は大人になっても子どもの頃と本質的な部分はそう変わらないもの。短大時代に学んだ〝幼児教育〞の知識が、相手の本質に触れ、一歩踏み込んで関わる上で今も活きています。
 大切にしているのは、製品を否定する声に耳を傾けること。「滑らなかった」と言われたら、どこが悪かったか、どう改善できるかを尋ねる。そうしたフィードバックが、製品開発の原動力になっています。一番のやりがいは「よく滑ったよ」と言ってもらえる瞬間。利益よりも滑走性を追求し、人に喜んでもらえる製品づくりを何よりも大事にしていきたいです。
 20年間夫婦で歩んできましたが、今では子どもたちも成長し、手伝ってくれるように。この仕事を、最愛の家族に想いごと引き継ぎたいという気持ちが芽生えています。若い人たちが夢を持てる場を整えながら、私自身もまた、新たな挑戦に踏み出そうと考えています。

私のHistory

1968年生まれ。基督教独立学園高等学校出身。山形女子短期大学(現 東北文教大学短期大学部)幼児教育科卒業。保育士を経験後、専業主婦に。2006年にスキー・スノーボードの企画・製造・販売を行うハヤシワックスを起業。

授業で蔵王温泉スキー場に。蔵王の広大なスケールに心から感動!


保育士を経て結婚・出産。短大時代に経験した蔵王の感動を家族にも伝えたいと蔵王温泉スキー場へ


独学でワックスを学び、試作を重ねて、ハヤシワックスを立ち上げた

ここがターニングPoint!

子どもたちのために何とかしたい一心で、ゼロからワックス開発に挑んだ!


日本ではまだ珍しかったパラフィン配合のリキッドワックスを販売。ハヤシワックスの名が広く知られるように


オリンピックやワールドカップでは日本代表選手をはじめ、他国チームにも支持され使用されており、ユーザーの声で常に進化していくワックス開発を目指す