TOBE広報 webマガジン
vol.16

2025年3月

谷柏田植踊を
地域住民の方と一緒に継承している
民俗芸能サークル「舞」。
〝民俗芸能〞と聞くと敷居が高そう…
と感じるかもしれませんが
そんなことはなく、
興味があれば誰でも参加でき、
「楽しく活動すること!」を
モットーにしているサークルです!
今回は活動のメインとなる
谷柏田植踊について深掘りし、
メンバーや顧問の先生にも
お話を聞きました。やがしわたうえおどり

田植踊りとは豊作を願い小正月に奉納する伝統行事で、谷柏田植踊は江戸時代後期から山形市谷柏地区で踊られていました。高齢化と後継者不足で20数年途絶えていましたが、2016年に山形県「未来に伝える山形の宝」事業の一環として、東北文教大学・南山形地区創生プロジェクトにより復活。2016年10月の大学祭で初めて谷柏田植踊が披露されました。

谷柏田植踊の復活に向けては、当時の短期大学部総合文化学科の学生たちが中心になって取り組みました。残されていたのはたった1本のVHSのビデオテープ。その映像から見よう見まねで振りを起こしたり、地域の方から唄を楽譜に起こしていただいたり。そうして試行錯誤を繰り返し、練習を積み重ね、20数年ぶりに復活を遂げました。

田植踊りの“役”は、後方で笠をかぶって踊り、田植えの動きを表現する「早乙女」、その前方で踊り、早乙女を激励する「中太鼓」・「源内棒」、周りで唄、太鼓、鉦、笛でお囃子を立てて早乙女を励ます役があり、田植え神事がもとになっています。前方の中太鼓・源内棒は飛び跳ねたり回転したりして力強く舞う男踊り、後方の早乙女はたおやかに流麗に踊る女踊り。その対比を表現し見る人に伝わるようにと練習に打ち込んでいます。

早乙女

もとは民俗芸能の演じ手は男性だったことから、男性が女装して早乙女の役を踊っていました。早乙女の笠は、顔を隠すためや、田の神に奉仕する神秘的な存在を象徴する意味も。

お囃子
(陰太鼓・鉦・笛・唄)

お囃子で一番大事なリズムを担うのが陰太鼓や鉦。そのリズムに合わせて唄や笛はメロディーを奏でます。それに踊りが加わり一体となって一つの芸能が成り立ちます。

源内棒

鉄輪が左右にくっついている棒で地面を突いて、地霊(土の中にいる神様)を呼び覚まして豊作をお願いする意味と、振り回して楽器のように音を出す二重の役目を持っています。

中太鼓

源内棒2人の間に立ち、中央で単独で踊ります。お囃子の一つで、本来は太鼓を叩きながら踊りますが、田植踊りでは太鼓を叩かずに太鼓を叩く仕草で踊り、早乙女を盛り立てます。

民俗芸能の衣装をまとい舞う有意義な
経験ができる!

【部長】
人間関係学科3年
阿部 莉央那さん

福島県立福島東
高等学校 出身

公演前の合同練習や公演本番の出演など、地域の方々と一緒に活動しています。公演を通してその地域の方々と交流することで、その文化や田植踊りの違いを知ることもあり、新しい学びがあることが楽しいです。公演本番は緊張しつつも、やり終えたときは達成感でいっぱいになります。これからは私たちの活動で谷柏田植踊をもっと広めていきたいです。インスタグラムでも公演やサークル活動の様子を発信しています。現在、新しい仲間を募集中!少しでも興味が湧いたら、サークルをのぞいてみてください!

絶やさず
続けていくことを
大切に

【顧問】
菊地 和博先生

サークルのメンバーたちが集まって、よくパート練習をやっている姿を目にします。それに踊りだけではなく、忘年会や桜を観る会、芋煮会…など、みんなで盛り上がれる企画を前部長、現部長を中心に発案して実施してくれて、サークル自体がすごくいい雰囲気です。民俗芸能は地域の文化を維持継承することが大事で、“絶やさず続けること”が大目標。今後も大学祭やイベントでの公演など依頼に確実に応えられる体制を整え、自分たちの舞を誇りを持ってお披露目できるチームであってほしいと思います。